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ヒトコワ

梅雨守さんによるヒトコワにまつわる怖い話の投稿です

つながるということ
短編 2022/05/13 01:26 1,270view

これは友人がくれた手紙を一部改変したものです。

 手をひらいて 私をみて 何も見えなくて

 胸がいたんで 私がかすんで 景色もかすんだ

 頭をかかえて 私はおちて そこについて

 足がすくんで 私は 私は
 
 教えて梅雨守 私は 私は

あまりにも詩的で具体性がなく、何より友人と20年以上顔を合わせていなかった私にはこの手紙を理解することはできません。

旧友からの不可思議な手紙に胸がざわつくものがなかったわけではありませんでした。
しかし、その頃の私は仕事にもプレイベートにも本当に寝る暇もないほど忙殺されており、何度かかけた電話もつながらず仕舞いで手紙は徐々に記憶の片隅に追いやられてしまいました。

そしてもうほとんど忘れてしまっていた一ヶ月後の夕方に友人の訃報が届きました。自殺だったとしばらく後で聞きました。

友人はこの手紙を出した前後の数日に亡くなっていたそうです。もちろん死人が手紙を出すことはありませんから出した後ということになるでしょうか。

葬儀に参列し、お母さんから「あの子にとって友達はあなただけだったんだと思います。」と言われました。
友人は決して友達が少ない方ではなかったですが、どこか馴染みきれない子だったことを思い出しました。そういった息苦しさからなのか高校以降は友達を作らなくなったんだそうです。

葬儀が終わってひとしきりベンチで泣いたあと腫れた目をしながらぼーっと考えました。

人は誰かとつながっていたいんだと思います。
どんなに息苦しくても人とつながらなければ生きていけない。私には友人に命を捨ててでも見てほしかった、伝えたいことがあったんだと思えてなりませんでした。

一体何を伝えたかったのか、手紙を何度見ても答えはわかりません。

こんな話をこんなところで披露する私も誰かとつながりたいのかもしれませんね。
もしなにか手紙の内容を見てわかることがあれば教えて下さると嬉しいです。

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関連タグ: #手紙#記憶#雨#電話
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