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ヒトコワ

豹変
長編 2021/02/01 01:55 9,416view
怖い話だ、人が。
そして、大概そうなるもとにはお金が絡んでいる。
多少のフェイクはいれるが、そういう話をする。


高齢の猫を飼っているといううちの患者ではない飼い主から連絡があった。
息が苦しくて動けない、吐いているという。
前日に往診専門の獣医が診察したが、普通だったらしい。が、その翌日から様子がおかしいという。

あきれたことにその飼い主は、一度もきちんとした動物病院につれていったことがないらしい。
こういう飼い主は現代だと珍しい。何か主義やこだわりがあってそうしているケースがほとんどだ。
だから厄介で、そして大分困った人であることが多い。この時点で大抵の場合、相当な警戒対象である。
知り合いの中には、初診で緊急である場合、緊急専門を紹介することが多い。
飼い主のキャラクターがわからないと、診察で齟齬が出ることが多くトラブルになりやすいからだ。
そもそも病院にきなれていない飼い主は、治療に対しての認識が低く、コストに関してもわかっていないことが多い。
だからそっと専門紹介し、無用なトラブルを避ける傾向にある。
掛り付け医をもったほうがいいのはこういう背景もある。
なかなかあこぎなタイプになると、たすからないことがわかっているので、たいした治療もせずに、手を尽くしましたが残念でした、とやることもあるとか、聞いた話だが。

そのどちらでもなく、まともに診察をしていると、馬鹿を見ることがある。
今回はそれを痛感することになる。

嫌な予感はしたが、緊急だ。
猫は呼吸が相当悪くならないと症状にでない。
一刻を争うが、助けられないことも前提に話して、それでも来院希望があり、結局みることになった。

案の定、猫の状況はひどかった。
よくもこんなひどい状況になるまで放置したものだと絶句する。
血圧低下、呼吸速拍、強度の脱水、不整脈、胸水腹水のみならず肺水腫、黄疸、乏尿、腎不全にあげくに高血糖。
フルコンボだ、打つ手がない。
厳しい状況であることはいやというほど説明し、どこまで治療したいか、お金をかけるか、人手を裂くかを相談する。

「いままで一度も病気をしていない子です、できるだけのことはしてあげたい」

コストも承知のうえでと飼い主は頭を下げた。
そこまでしても助からない可能性が強いということも重ねて話し、希望に沿ってできるだけのことをすることになった。

そして奇跡は起きた。
尿が作られ、胸の水が抜けたのだ。
本人もいくらか楽になり、ご飯をほしそうにしている。
よかった!病院は沸いた。助からないと思われていた猫が一命をとり止めたのだから、こんなに嬉しいことはない。
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関連タグ: #猫#病院#記憶
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コメント(8)
  • ひどい飼い主だ。飼う資格なんてない。

    2021/02/01/11:03
  • すごく想像つく怖い話
    口約束ならまだしも同意書とっててこれは酷い

    2021/02/01/12:36
  • だから経済的に余裕のない奴が「かわいい」だけで動物飼っちゃいけないんだよ

    2021/02/02/13:33
  • これぞ正にヒトコワか

    2021/02/05/16:04
  • 読みやすくて上手い文章

    2021/02/09/11:30
  • タイトルも上手いな〜

    2021/02/12/22:10
  • リアルで怖いなー
    動物を飼う人にも読んで欲しいね

    2021/03/23/21:49
  • 家にいる犬を家族の一員として大切にしてきたので、こういう飼い主を見ると残念に思いますね。
    第一、そんなに酷い状態にするとは、どういう飼い方をしてきたのだろう。それを想像すると更に怖いですね。

    2021/03/30/21:15