還らずの変色池

私の地元では有名な話です。

昔から私の地元には子供や大人も近付いてはいけない、と言われている古い池がありました。その池は底が見えない程深く一度落ちてしまうと絶対に自力では這い上がってこれないと言われており、柵などはなく簡単に近づく事は出来るのですが池の周囲はヌメリが酷く足場が悪い為、子供は絶対に近付いてはいけないと言われておりました。

しかし数年前に池で泳いでいたカモの写真を撮る為に近付いた男性が誤ってその池に転落してしまったのです。

しかしそれを誰も見てはおらず男性は誰からも気づいて貰う事はありませんでした。行方不明届けとして捜査がされていたのですがその後も男性の行方は分からないままでした。

しかし、男性が池に転落してから二ヶ月頃が経った頃に池の水が淀み薄黒く変色し始めたのです。不思議に感じた管理者の方が池の清掃を始めた所転落した男性の遺体が水底の泥の中に埋まりきっており骨がむき出しになっていたそうです。

身元は分かるまでではありましたが池の水がどうしてここまで変色してしまうのか原因はわからないままでした。清掃を繰り返し黒い淀みが消えるまで数年掛かったとも言われておりました。池は黒い淀みもなくなりいつも通りの池に姿を戻したのも束の間の事でした。その一週間後に今度は池に子供が転落してしまう事故が起きてしまいました。

家族で遊びに来ていたらしいのですが誰も子供が池に転落した姿を見てはいませんでした。行方不明となった子供は池の中も捜査を行いましたが遺体は見つかりませんでした。けれど、その一ヶ月後にまた池の水が淀み黒い水が出来てきたのです。そしてまた池の清掃を行うと水底に小さな子供の遺体が埋まっていたのです。

それから池の水が淀むと誰かの遺体が埋まっていると言われるようになりました。