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呪い・祟り

玻璃さんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

積まれた石の塔
短編 2022/05/14 23:39 328view
 私がかつて勤めていた職場には、不思議なものがありました。屋外にいくつか倉庫のある職場だったのですが、そのうちのある倉庫前に、賽の河原のお話に出てくるような石を積んだものが置かれてありました。高さは30センチほどです。絶妙なバランスで、屋外にあるにもかかわらず、雨の日や風の日でも崩れることはなく、いつも変わらず置かれていました。

 ほとんどの従業員が、この積まれた石の存在を知っていました。しかし、誰もその石の意味を知る者はいませんでした。異動の多い職場でしたから、昔のことを知る者はいなかったのです。ただ、社内で1番の古株が言うには、15年前にはすでにそこにあったようです。そして、こんな噂話も耳にしました。

 十数年前に、勤務中に行方不明になり、亡くなっていた従業員がいたらしいのですが、その頃より石が積まれていたような話があるらしいのです。もしかするとその方の供養のためかも、というような内容でした。

 結局、何かは分からないまま過ごしていたある日、社内の上司が新しく転勤してきました。そして、その上司の指示のもと、屋外で工事が始まりました。環境整備のためだったと思います。外注の業者さんが出入りし、連日、ショベルカーなどが行き来していました。気付けばあの石の塔は崩され、翌日には石自体が撤去されていました。

 そして、その頃より、なぜか私の職場では、従業員やその家族が、不幸や怪我を負う出来事が立て続けに起こっていました。元気だった人が短い期間に3人も亡くなり、病気が見つかり入院する者もいれば、怪我を負い、手術せざるを得なくなった者もいました。そのとき誰もが心当たりとして思い浮かべたものが、あの石の塔でした。「お祓いしてもらったほうがいいんじゃないの」と誰もが口を揃えて言うようになっていました。

 そんなある日、1人の従業員が倉庫の中に入ったとき、何かを見つけて慌てて出てきました。社内史のようなアルバムが開いた状態で床に落ちていたそうで、拾い上げると、そこには十数年前に行方不明になり、亡くなっていたと噂される従業員の顔写真が載っていました。偶然にしても気味が悪く、皆、倉庫にできるだけ近づかないようになりました。

 社内で起こっていた不幸や怪我を負う事態は、あるとき上司がまた別の場所へ転勤して行ったころに、自然と収まりました。後から聞いた話なのですが、実は転勤して行った上司が若い頃、一緒に仕事をしていたのが行方不明になった彼だったそうなのです。何か伝えたいことでもあったのでしょうか。上司は彼のことで何か知っていることがあったのでしょうか。
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