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心霊

ジョンガリさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

もっとも 事故物件に住んでた時の話
短編 2021/02/01 01:37 4,568view
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大学生の時に女性が自殺した東京都某区の格安好立地の事故物件に住んでた時の話で今回は番外編です。
というのも、大学三年の夏頃に彼女と外で遊んでた時に体験した話なので若干タイトル詐欺になってしまいますが、それでも良ければ是非読んでいってください。

大学生三年の夏休み、試験を再試代を払うことでギリのギリギリで潜り抜けた俺は彼女と遊ぶ約束をしていた。
大学一年の時から付き合っていたその彼女とはディ○ニーを始め大阪のUS○や箱根、果ては房総半島でしらす丼を食うなど、長期休みはまあまあ遠出していたのだが、その時の俺は親に立て替えてもらっていた引っ越しのお金を毎月せっせと返していたため金銭的余裕はあまり無かった。

大学生三年の夏は遠出を諦めてもう何回も行き倒したナンジャタウンで餃子を食べようとしていたのだが、彼女にとってナンジャタウンはもう飽きるを通り越していたため、もう絶対に行かないという硬い決意のもと、ナンジャタウン以外のどこかに行こうという話に落ち着いた。

俺は、電車の定期券もあるため電車賃も安く済むスカイツリーに行きたかったのだが、遊園地に行きたいと彼女は頑として譲らない。富士急ハイランドに行くほどのお金は無かったため、必然的に花やしきか豊島園のどちらかになっていた。

今回の話とはあまり関係がないのだが、俺は高校の時に当時付き合っていた彼女と豊島園に行った時に怪奇現象に遭遇していた。
というのも当時の豊島園は夏期限定で「呪われた冥土屋敷」というアトラクションがあり、アホガキだった俺はメイドという言葉にホイホイ釣られてデレデレしながら彼女と入ったのだが、そこで彼女が(俺には全く見えなかったのだが)通路の真ん中に映画シャイニングの双子の様な子供が立っていると言い立ち往生、一応お清めのためにと帰りにコンビニで塩を買ったのだが、100mgが無かったので1kgの袋塩を買って頭からそれを丸々浴びてから家に入るというトラウマ体験があったのだった。

そのため二択といえども、俺には実質一択だったので花やしき+スカイツリーの折衷案となり、たしか再試験の二日後には花やしきに行くことになっていた。

当日、俺たちは俺の家の近くのボッロい喫茶店でトーストと飾りの様な野菜とハムの様なベーコンと何かの卵を食べてから電車に乗って浅草に行き、着いたらセブンイレブンでジーマを二本買い、飲みながら花やしきに向かった。

花やしきでスペースショットやジェットコースターなどに乗り、あらかた楽しんだ後、最後に桜の怨霊に行くことにした。

結論からいうと最悪であった。

夏なのに明らかに空気感が違った。チープな作りなのだが入った時にヌメっとしたようなジメジメとした肌寒さと相まって異様に怖く感じた。
アトラクションに入るときにスタッフさんを見かけたのだが、人間的な安心感からの無機質なアトラクション内とのギャップが恐怖を加速させていた。
西の空が斜陽かかっていたのもよく覚えている。

ノリノリだった彼女の歩みが遅くなり、必然的に俺が手を引いて行かなければならなくなったのだが、俺はその時に囚人の足に付いている鉄の玉の事を皮肉と虚勢混じりに考えていた事を今でも強烈に覚えている。

散歩拒否の柴犬状態の彼女の手を引いて歩いていたのだが後ろから足音が割りとハッキリ聞こえた。
振り返ったら当然誰も居なかったのだが生成色の様な色の着物がチラッと見えた。
俺は本当に心底ゾッとし、多分顔に出ていたのか彼女も俺を見て完全に怖がっていた。

ほぼ無言で彼女の手を引き出口へ急いだのだが無言がまずかった。

耳に意識が行き足音が明瞭に聞こえていた。意を決して彼女に目をやると彼女は完全に怯えた顔をしていた。俺の目のピントは彼女にフォーカスしていたが、精細さを欠いた背景に写る生成色は依然見えていた。
追いかけられている。
頬から顎にかけて鳥肌が立つ感覚は今でも容易に思い返せる。当然俺はその生成色の着物の首から上を見てはいないのだが、野村萬斎主演の陰陽師に出てくる生成り姫を想像してしまっていた。

花やしきのお化け屋敷は後にも先にもその一回しか行っていないため屋敷内の地理には疎かったのだが出口が見えてきた。
飛び込む様に出口から出て、屋敷内の薄ら涼しさから汗の滲む外の暑さに立ちくらみの様な、舌がピリピリと痺れる感覚を感じた。
膝に手をつき血の気が引いてイカみたいに白くなってる俺とそのイカゲソに捕まれている彼女にスタッフさんは大丈夫かと問い、着物の様なものを見たと告げたら、さも聞かれ慣れてるかの様に

「よく見かけるらしいですねぇ~」

と言われた時の顔は、笑顔なのだが何か不気味さを感じた記憶がある。

俺と彼女は完全にシラけきっていたが、その後は普通に電車に乗ってスカイツリーの最寄り駅に行き、ジーマを飲みながらイルミネーションを見て、二人で俺の家に帰り、フランケンウィーニーと言う映画を見た。

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コメント(1)
  • お化け屋敷には本物が混じってるというのは本当なのね…

    2021/02/01/10:57

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