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心霊

uquiepさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

おばあちゃんの命日
長編 2022/04/24 23:52 2,364view

私は小さい頃から何かが見えていたようで、暗がりに向かって「こわい」「おじいちゃんがいる」と一緒に住んでいない祖父がいると騒ぎ、実際にその日の夜中に祖父が亡くなるなどの体験をしてきました。

これは、私が小学5年生の頃のお話です。

私の祖母は小学4年生の冬に老衰でなくなりました。
老人ホームで最期を迎えた祖母ですが、骨折する前までは一緒に住んでいました。
祖母は認知症が入り、私の事を覚えていませんでしたが、「かずくん、かずくん」と私のお兄ちゃんの名前を呼びながらも私を可愛がってくれていました。

そんな祖母が亡くなり、慌ただしく葬式などを済ませ丁度一年が過ぎた頃でした。
当時、仏間の横の和室に母と布団を並べて寝ていた私。
その日は寝つきが悪く、午前0時頃になってもなかなか寝付く事が出来ませんでした。
眠る事が出来ないまま午前0時を過ぎた頃、仏間の方から「ちょろちょろちょろ」と水音が聞こえてきました。
最初は雨が降ってきたのかな?と考えていましたが、雨音はしないし段々と水音が大きくなってきました。

急に私は気味が悪くなり、このまま暗がりで目を開けていてはいけないと感じすぐに目を閉じました。

それからすぐの事です。
隣で寝ていた母の寝息が聞こえなくなり、リビングから微かに聞こえていた父が見ているテレビの音が一切聞こえなくなってしまいました。
この時、私は今までの体験から「あ、これはいけないやつだ。
起きている事がばれたらダメだ」と感じていました。

出来るだけ息を潜めて寝ている事を装っていました。
もう、この時点で体は動かず固まり、ただただ息をするだけで苦しい状況でした。

そして段々と水音も聞こえなくなりました。
仏間からは水音の代わりにぶつぶつとおしゃべりをしている声が微かに聞こえてきました。
それは、祖母が家にいた頃よく聞いていた祖母の独り言のような声でした。
この時点で私は「おばあちゃんが帰って来てるんだ。
でも、なんで怖いの?おばあちゃんだけど違うのかもしれない」と考えていました。

そして、段々と私の寝ている和室の方に声が近づいてきていました。
私は、動かない体を緊張でもっと固まらせていました。

すると私の寝ている布団の足元から、人が歩くように布団が沈む感覚、「しと、しと」と鮮明に布団踏みしめる音が聞こえました。
その布団を踏む足は私の丁度腰のあたりで止まり、私は恐怖で浅い呼吸を繰り返す事しか出来ません。

未だ私の布団の上に居座る何かがじっと私の顔を見ているのを感じていました。
そして布団からはみ出している首元からひんやりとした空気が入り、肩を掴まれた感覚がした瞬間、がたがたと肩を激しく揺らされました。
布団から出されそうな勢いで縦に揺らされ私はひたすら「はやくおわれ」と願うしかありませんでした。
そうして時間的には数十秒だったと思います。
肩から掴まれた感覚が消え、今まで聞こえなかった母の寝息、リビングのテレビの音が戻ってきました。
息苦しかった私の息も元通りになりました。
恐怖から目を開ける事はできませんでしたが「やっと解放されたんだ」と安堵しました。

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