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呪い・祟り

健人さんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

危険な名前の場所には行かないほうがいい『首洗い池』
短編 2021/01/30 20:58 4,436view
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この話は私が当時20歳位の時に大学の夏休みを使って実家に帰省した際にあった実話です。

私は毎回、帰省すると子供の頃からの幼馴染(Aとします)の家(実家から徒歩1分)に真っ先に遊びに行き、Aの仕事が終わり次第、夜な夜な遊びに出かけ回っていました。

その日もAの仕事が終わり、Aの部屋でくつろいでいた所、どこかに行こうという話になりました。しかし、私の地元はかなり田舎で遊びに行く所も限られており、大概どこかに行くと知り合いに遭遇するレベルの狭いテリトリーだったため、ほぼほぼ行き尽くした感が否めません。

当然Aも同じ意見で互いに悩んだ結果、2人で考えても案が出てこないなら、別の友人を読んでそこから考えようとなりました。
しばらくするとB(私とAの中学生時代からの友人)が来て、そこから3人で考える事となった時にBが『この間、肝試しで○○旅館に行って来たんやわ』と思い出した様に話し始めました。

その○○旅館は私達の地元から車で30分ほど行った所にある潰れた旅館で何十年も前に火災で焼け落ちてから、色々な噂が飛び交う有名な心霊スポットでした。B『結局何もなかったけどなぁ』私は内心『何もなくて当たり前やろう』と思いましたが、この時はあまりに行く所が無さすぎてネタを提供してくれたBの話に乗っかり『それなら新しい心霊スポット探そうか?』と提案しました。今思えばあんな事言うべきではなかったのですが、あの時は暇に耐えきれず、出かける理由があればなんでもよかったのです。

私はAの部屋の引き出しから地図を取り出してめぼしいところがないか探し始めました。当時はあまりインターネットがストレス無く使える時代でもなかった為、車のナビならともかく部屋で行き先見つける場合は大概地図を利用してました。30分程した際にBが「コレ面白いんじゃね?」と地図を見せてきました。そこには車で2時間程の山の方になりますが野球場くらいの大きさで○○池と書いてあり注釈として『首洗い池』と書いてありました。何とも私の興味をそそるネーミングだとかなり食いついたのを覚えています。

行き先は決まり、夜8時ごろ男3人、Bの運転で首洗い池を目指し車を走らせました。

道中たわいもない話をしながら気づけば市を4つまたぎ、かなりの田舎道に入ってきましたが、そこからかなりの悪路で道なき道、車一台ギリギリの道を駆け上り、ナビで池が確認できる位置まで来た所でBが『これ以上進めんわ、歩きやな』というので3人とも車をおり懐中電灯を持ったまま池の入り口付近をめざしました。

しばらくすると池の入り口かな?と思われる所まで来た際にAが『何これ?』というので見ると池全体を囲む様に有刺鉄線が設置され進入禁止の看板が立てられていましたが当然20歳の血気盛んな若者には意味をなさず、鉄線の隙間から潜って中に侵入した所で目的の池が見えてきました。

懐中電灯で照らすと改めて池の全容が見えて来ましたが、思ってたよりかなり狭い事に気づきました。
野球場ぐらいかと思われた池は実際は学校にある体育館ぐらいの広さで、入り口付近からでも奥行きが確認できるこじんまりとした広さの普通の野池だったのです。

ただし私もA.Bもその池に対し違和感が感じずにはいられません。
その違和感にはすぐ気付きました。
よく見ると池の縁に池全体を囲む様に等間隔で菊の花がお供えしてある様に置かれていました。

A『….なんでこんな物あんの?….』すると突然次の瞬間私の首に今まで感じた事のない激痛が走りました。ひねったりした訳でも無く、打ちつけた訳でも無いのに痛みだけが私の首を襲ったのです。

私は突然の首の痛みに対し、瞬時に「ここはヤバイ!」という事を肌で感じ、すぐA.Bに『ヤバイわ!早く離れよう!』と訴えました。Bは私が首の痛みに耐えてる事に気づかず『何いってんの?今来たとこやろ?』と言わんばかりに不思議そうな顔でコチラをみました。

私はあまりの痛さにそれ以上声を出して訴える事も出来ずに泣きそうな顔で5メートル程離れたAに両手を合わせてお願いポーズをとり、帰宅を促しました…がAがピクリとも動きません。

???首の痛みに耐えながら良く目を凝らすとAの姿が暗闇の中うっすらと見え、コチラを向いてない事だけは確認できました。『聴こえてないんか??』私は痛さを我慢してAに近づくと絶句しました。

Aはたしかにコチラを見てません。又逆を向いてる訳でもなくただただ真上を見ているのです。完全な白目で一直線に空の一点を見上げて、かつ口から見たことない量の泡を吹いてました。

ひと目見て意識がない事を理解し私の『ぎゃあ!!』という驚きの声に反応しBも事の重大さに気づいたのです。
そこからはBとともにAを担いで車に乗せて大急ぎで山を下り、自分たちの地元まで向かいました。不思議な事に山を下ったと同時にAは意識を取り戻し、同じように私の首の痛みが取れました。何が原因であの様になったのか?あの場所は何なのか?霊的なものなのか?何も分かりませんが、あの時、私とAが体感した異変は普通じゃない事だけは間違いありません。

今でもその友人達とは付き合いがありますが、私たちの中でもあの日の出来事は暗黙のタブーとなっており、誰も口に出さないですしAに至ってはほとんど記憶はありません。

大学の講義で現存する全国の地名は色々な歴史、意味があり名前をつけられていると聞きました。それは当然各地の池や沼や河川なんかもそうなのではないでしょうか?あれ以来あの池には行ってませんし、あの場所について調べた事もありません。大人になって言えることは、軽はずみに危険な名前の場所には行かない事をお勧めします。その名前は過去に何らかの事がありその名前となっている可能性が高いので。

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コメント(3)
  • 菊の花は怖い…

    2021/01/31/22:59
  • とある山の血洗の滝とかね。物騒な名前。

    2021/02/01/13:11
  • 菊の花はまるで断首されたようにポロリと舞うため、武家などでは忌み嫌われていましたね。
    まさかね…

    2021/03/11/21:39

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