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心霊

せせりさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

車に付いたモノ
短編 2022/04/23 23:49 942view

北海道の大学にいたときの話です。
大学の講義も終わり、午後から時間が空いたため、男の子2人、女の子1人の自分を含めた4人でドライブに行くことにしました。

学食でお昼ご飯を食べているときのこと。
男の子の1人が下宿の先輩から、昔、近くの公園の高台から飛び降り自殺した人がいて、今でも夕方暗くなり始めるころに出ると話を聞いたと言いました。
よくありがちな話で、時間もあったしでみんなで行ってみることにしました。

夕方になるまで近場をドライブし、冬口だったので17:30頃には薄暗くなるため、18:00前くらいに現地の駐車場へ車を止めました。

公園は市の中でもわりと広い公園で、中心地あたりにビルの3階くらいの高さの滝がありました。
先輩の話では、この滝から女性が飛び降り自殺をしたとのこと。

時間的にも子供の姿はなく、静かな公園でした。街灯も少ないため、公園内はとても陰気くさい印象で不気味な感じがしました。

話を聞いた後だからかもしれませんが、背筋がぞくぞくした感じがしてなんとなく落ち着かない感じ。
一緒に来た女友達も「気味悪いから早く帰ろう」と言い出しました。

男子2人もつまらんといって車へ引き返そうとしたときのこと、街灯の下に女性が立っていました。
見た目には普通の女性。ショルダーバックを肩にかけ、人待ちしている様な様子でした。

「待ち合わせかな?」と思っていましたが、その人は、一定の距離を保ってこちらへ着いてきました。
「なんかついてきてねえ?」と男子1人が言うとみながそれぞれ後ろを振り向きましたが、さっきまでいた女性が忽然といなくなりました。
自分も女性を見ているのでおかしいと思っていましたが、霊の類いでよく言われる様な「髪の長い」「白い服を着た」「透けて見える」「脚のない」みたいないかにも幽霊みたいな雰囲気は全くなかったので、「違う道にいったのかな?」ぐらいにしか思っていませんでした。

車まで普通に徒歩で戻り、車へ全員乗り込み、いざ出発というときにエンジンがかからない。
セルはまわるけど、一向にエンジンがかかる気配はありませんでした。

外も寒かったため、早く暖気してあたたまりたいのに4人で口々に「早くエンジンかかれよ」など言っていたとき、ドンと車に何かがぶつかる音がしました。
「なに?」と音のした後方を見てもなにもない。降りて確認しようとしたところにまたドンと音がする。
だんだん何かがぶつかる音が多くなり、車内はパニック状態でした。

やっとの事でエンジンがかかり、運転する男の子の下宿先の駐車場へ着き、みんなが一斉におりると、一緒に後部座席に座っていた女友達が「ひぃ」と悲鳴を上げました。
反対側へまわってみると、トランクあたりから運転席後ろの座席ドアに向かって、泥のような手の跡がびっしり残っていました。

その後特に誰かが体調崩したり事故ったりといった異変はなかったのですが、4人はあまりにも不気味でその車はしばらくして中古車屋に売ってしまいました。

あれはいったいなんだったのか。途中まで追っていた女性が実は幽霊だったのか。ただのいたずらか。
にしても、人気の少ない公園の駐車場にわざわざ泥の手を付けるようないたずらをするでしょうか?未だに謎のままです。

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