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不思議体験

舞姫さんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

ベールを持つ小さな白い手
短編 2022/04/21 10:41 710view

最近、介護業者で白い手のシンボルマークを見かけるようになり、思うことがあります。
優しく思いやりあるケアを意図したデザインなのですが、私はこの白い手の印象が少し怖くてなりません。
それは、以前の勤務先で起きたことに由来しています。

その勤務先は風通しが良く、真夏でもない限り物凄く寒く感じる部屋でした。
日当たりも凄く良いのにもかかわらず、エアコンだけでは部屋が温まらいため、ファンヒーターを足元でたいていました。
しかし、それでも寒い。
男性は何とも感じていないようですが、体を動かすことが少ない女性は手がかじかむくらいいつも寒いのです。

ある時、一人で仕事をしていた際、いつものように今日も冷えると凍えていたところ、ふいに両肩の上に背後から小さな白い手が一対、薄く透けて光沢のあるベールのような物を持ち肩から背中にかけているという景色が脳裏に鮮明に浮かび驚きを感じました。
女性の手を半分くらいにしたサイズで、白く30%くらい半透明、ベールはシルクのような質感で光沢があり80%くらい透明です。

私はほとんど霊感がないため、このようにはっきり分かる時は、こうした存在が自分に何か伝えようという意志があるのではと考えています。
全体的に不気味ですが白いのと光沢のキラッとした光りぐあいから、あまり悪い感じではなかったのですが、凄く驚きました。

するとその瞬間、社長がいつものように勢いよくドアを開けて帰社すると、その白い手がビクッとし、さっとかき消えていなくなりました。
社長に気を遣っているのか、もしくは社長がそれなりに霊的にも強い存在のようでした。
その手とベールが消えると、今までの寒さは嘘のように消え、ファンヒーターをかけている通常の暖かい部屋となり、冷え切った体に一気に暖かさが戻りました。

この職場では、このこと以外にも変なことが度々あったため、その都度社長に伝えていたものの取り合ってもらえませんでしたが、この時は神妙な顔をして、非常勤の人や外部社員がよく座る席を見て、…やっぱいるんだよ、とだけつぶやいていました。
もう少ししつこくそれは誰なんだ、あの手は何なんだと詳しく事情を聞いておけば良かったと後悔しています。

私は、その会社に在籍中に関節リウマチの症状が出はじめており、わけわからないまま不調が募って退職し数年後に発症しています。
治療していますがこの病気は完治することはなく、痛いし疲れるしとにかく冷えやすく、寒いんですよ…。

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