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足が太いさんによる妖怪・風習・伝奇にまつわる怖い話の投稿です

くねくねに似た村の守り神「ウネリ様」
長編 2022/04/17 09:10 5,034view
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くねくねって知ってる?田んぼとかで見かけることが多い、くねくね動いている謎の存在で、その正体を知ってしまうと精神に異常を来すって言われてるやつ。

随分昔にネットで流行った怪談なんだけど、結構有名な話だから知ってる人も割と多いと思う。

作り話だって言われてるけど、私は本当はちゃんと居るんじゃないかなぁと思ってる。

そう思うのは、祖父にある話を聞いたから。

祖父は不思議な話しを色々知ってる人で、私は妖怪とか怖い話しに興味があったから、よく強請っては語ってもらってた。

ある時、祖父に「くねくねって知ってる?ネットで見たんだけど…」と、くねくねについて聞いてみた。

もしかしたら祖父も、見たことはなかったとしても、何か知ってるんじゃないかって。

案の定、祖父は「それは、おじいちゃんの住んでいた地域では、ウネリ様って呼ばれてたなぁ」と語り出した。

祖父は○○県(地域が特定されると面白半分で見に行く人がいるかもしれないので伏せます)で生まれ育ったんだけど、そこは山と田んぼと川しかないような人口の少ない村だった。

そこでは昔から、「ウネリ様」と呼ばれる村の守り神みたいなものがいたんだって。

ウネリ様は大木のように背が高く、針のように細くて、手はついていなくて顔も大きな口以外はっきりとは見えない。

まるで両手を後ろ手に縛られたような恰好で、左右にふら~ふら~と揺れながら長い長い両の足で歩くらしい。

ウネリ様は普段は山にいて、滅多に村には降りてこないんだって。

でも、あるきっかけがあれば村に降りてくる、それは村の誰かが亡くなった時。

その頃は土葬だったらしく、山の麓にある墓地に皆で遺体を運んで、そして家々の墓に埋葬する。

ウネリ様は山からふら~ふら~とやってきて、遺体を埋めているところを遠くから、左右に揺れながら見つめているらしい。

で、埋葬が終わって皆がそれぞれの家に帰ると、ウネリ様はさっき埋葬された墓に近づき、夜通しふらふらとその場で揺れているのだとか。

村の皆が言うには「ウネリ様は亡くなった人の魂が無事にあの世へ行けるように、なにがしかしているんじゃないかな」と思ってたんだって。

だから山からウネリ様が現れても、墓地で揺れていても、誰も怖がったり気味悪がったりはしなかった。

でも、祖父の友人はある時知ってしまったらしい、ウネリ様が実はそんな良い存在ではないことに。

祖父には同年代の友人A男がいて、A男とはとても仲良くしていた。

ある時、A男の祖父が亡くなり、その時もウネリ様が出てきたんだ。

A男は、お葬式に来ていた祖父に、「俺、ウネリ様を見張ってようと思う」と言った。

祖父が「見張ってるってどうして」と聞くと、A男は「だって、何してるか気になるじゃないか」と答えた。

A男はウネリ様が墓地で何をしているのかただ気になるという好奇心から、墓地の近くでウネリ様の様子を見張っていようと考えたのだとか。

祖父も気になっていたので、その日の夜、祖父とA男はこっそり家を抜け出して、ウネリ様の見える位置に陣取って、ウネリ様の様子を見ていた。

ウネリ様は2人が見ていることに気づいているのかいないのか、A男の祖父が埋葬された墓の前で、ずーっと左右に揺れている。

祖父とA男は根気よく、ウネリ様を眺めていた。

それから随分時間が経って空が白けてきた頃、祖父は「そろそろ家に戻らないと親が起きてくる」と焦っていたんだって。

それはA男も同じらしく、祖父に「もう帰ろうか」と声をかけてきた。

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