たまもらいます

私の田舎には不思議な風習があります。

お葬式があった家に「たまー、もらいますー」と言いながら入って行って家中を神社のご幣束みたいなものをひらひらさせて帰っていく『たまもらい』というものです。

「たまもらい」をするのはお葬式が終わってすぐが多く、だいたいはお坊さんの読経が終わると外に待機していた『たまもらい』をする人、通称「もらい屋」と呼ばれる人が三人一組で家に入ってきて、「たまー、もらいますー」「たまー、もらっていきますー」などと言いながら家中をくまなく回って行くんです。

民俗学の有名な学者もこの風習を知って見学に来たりしましたが、論文や本には記していません。
理由はわかりませんが、聞いた話によると、「この風習は外にもらさない方が良い」と言っていたそうです。

お坊さんも「仏教由来の風習ではない民間信仰だからなんとも言えないが、私たちが出来ないものをしている」と言っています。

私も先日祖母のお葬式をした時に、読経が終わってから、もらい屋が「たまー、もらいますー」と入って来ました。でも、「お葬式があるから来て欲しい」と依頼をすたわけではなく、いつの間にか外にいて、「たまー、もらいますー」と始まりました。

その時、もらい屋の顔をみて、最近亡くなった人の顔に似ているなと思いました。