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不思議体験

せいぎさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

乳母車を押したおばあさん
短編 2022/03/20 22:09 901view

ある春の夜でした。

会社の飲み会の帰りで時刻は午前0時ちょうどに最寄り駅についたような記憶があります。

駅の改札を抜けて階段を下り2個目の交差点を左に曲がると500mほど大きな通りをまっすぐ歩く道になります。

その日もいつも通り2個目の交差点を左に曲がり長いまっすぐの大通りを歩こうと思っていました。

交差点を曲がって少し先の方を見るとおばあさんが私と同じ方向に向かって歩いているのがわかりました。

おばあさんの背中を見るような形で歩いていましたが、おばあさんの方がスピードが遅く徐々に近づきました。

おばあさんは背中を丸め、何かを押すように歩いていたのは後ろから見てもわかりました。近づくにつれ押しているのは乳母車かな?と予想がつきました。

そのうちおばあさんに追いつき、追い越す時に乳母車にふと目線を走らせました。

おばあさんの乳母車に乗っていたのは人の形を模したぬいぐるみでした。

その道は石畳でできており凹凸の激しい歩道でした。なので乳母車に乗っている人形も歩道の凹凸に合わせ乳母車の上で跳ねており、その都度手足がだらん、だらんと揺れているのがわかりました。

私は乳母車を押したおばあさんも、乳母車に乗せているのは人形なのも気味悪く抜かした後は足早に歩きました。

ただ追い越した後もおばあさんの事が気になり一回振り向いて確認しました。

その時はおばあさんはだいぶ後ろの方にいたのですが、明らかに乳母車に乗せている人形が先ほどより大きくなってました。

一段と気味が悪くなり、私はもう走っているかのような速さで歩きました。焦っていました。

長いまっすぐの道が終わると左に曲がり家は目前になります。

速く歩いていたのでいつもよりまっすぐの道が早く終わりました。そして左に曲がった時に意識せずとも先ほどのおばあさん視界に入ってきました。

なんと私の左隣りにいたのです。

私は怖くなり、すぐに走り出し一目散に家に入りました。

あのおばあさんが何だったのか今でもわかりません。

あれから5年同じ道を通り続けましたがおばあさんにお会いすることはありませんでした。

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