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妖怪・風習・伝奇

ユウナさんによる妖怪・風習・伝奇にまつわる怖い話の投稿です

神社に棲まうもの
長編 2022/03/12 01:44 4,355view
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これは、私が友達と一緒に体験した心霊体験です。

私たちが住んでいる場所には古びた神社があるのですが、山に住んでいること、田舎なことなどが相まって参拝客などはほとんどおらず、神主さんや神社の手入れをする人は誰もいないような場所でした。

参拝客は誰もおらず、手入れをするような人も一人もいない廃れた神社。境内には神社の生い立ちや歴史の書いてある木製の大きな看板が一つあるだけで、他には何もなく、奥の方に昔のお社だったのであろう小さなお社が半壊状態で残されており、そこに適当な小銭が何枚かおかれているだったような気がします。

山の中腹に建てられておりかつ階段なども整備されていないため、幽霊を見たなどの噂がひそかに語り継がれていたため子供たちの肝試し場所にはうってつけの心霊スポットでした。

私もそんな子供たちの一人で、中学生のころ夏休みに友達5人と肝試しをすることになりました。肝試しの手順は以下の通りです。

①男女二人ペアでお揃いのサイリウム(お祭りでよく売っているような腕輪型のやつです)をつける

②鳥居のある階段を上り、左側に伸びているまっすぐな長い道路を歩き、古い神社まで行く

③古い神社の右端の方にある小さな壊れかけのお社にお賽銭をおき、お社の前に置いてあるお札を回収する

④そのまま目の前の階段をおりて、他のペアの待つ場所まで帰ってくる

⑤開始から終了まで、決してお互いの手を離してはならない

恐らくよくある肝試しの手順とそう変わらないと思います。

5番目は、神社が山の中にあることもあり道路のすぐ横は木の鬱蒼と茂った崖が続いているため、迷子にならないためのものでした。

人数も少なく、一周だけではつまらないという話から、ペアを変えて二週する事になっていました。

真っ暗で一寸先の道がどうなっているのかも見えないような山道。

道路を通る人は滅多に居ない、そんな場所。

街灯のない夜の道は私たちが持っている懐中電灯とサイリウムが光るばかりで、皆怖いとは言いませんでしたが表情が少し固まっていたのを今でも覚えています。

順番はあみだくじで決めたような気がします。

もしかしたらじゃんけんだったかもしれませんが私たちが真ん中のペアだったことだけは確かです。

暗闇の中から他のペアの驚いたような声や悲鳴がよく聞こえてきて、怖い話や暗い場所が苦手だった私は怖くて鳥肌が立っていました。

一週目のペアの男の子はヤンチャでいたずらっ子な男の子。

途中でわざと手を離されそうになって泣きそうになったり、右の森の方が風か何かでガサガサと揺れ二人でかなり驚いたりもしましたが特に何事もなく神社で手を合わせて帰ることができました。

この時私は、「なんだ。本当に何にもない神社なんだ」と拍子抜けし、この程度なら二週目は全く怖くないなと安心していました。

今思えば、そんな私たちの恐怖心や軽率な行動がアレを呼んだのかもしれません。

一週目の最後のペアの子たちが帰ってきた時くらいからでしょうか。

神社の方から妙な違和感を感じました。

それは私だけではなかったようで、一週目を終えたことで緩んでいた緊張感が戻ってきましたが、私たちは知らないふりをして無理に明るい声を出し、誰も怖いからもう止めようなんて言い出しませんでした。

怖いなんて言ったら馬鹿にされるとムキになっていたのかもしれません。

2週目は私たちのペアが最後でした。

二週目は先ほどとは違い他のペアの声は全くと言っていいほど聞こえてこず、それがかえって不気味でした。

私達の番になり、手をつないだまま階段を上っていきました。

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