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不思議体験

深幸〜みゆき〜深淵を覗くさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

青い服の男の子
長編 2021/01/18 10:16 5,426view

これは、私達家族と同級生母娘との間で実際に起きた不思議な出来事です。

その日、私達家族(夫、私、長男、次男)は、高校の部活終わりの次男を迎えに行き、久しぶりに四人で外食に出掛けました。外食といっても専門学校に通いながら柔道を続けている長男、ラグビー部所属の高校生の次男がいるため、自ずと焼き肉のお店を予約しました。

高台に位置した眺めのいいお店なので、ちょっと高級感のあるお店。入店し、席に案内されると隣のテーブルには、長男の同級生の女の子ゆかりちゃん(仮名)母娘が既に食事中で、お互いに小声で
「あらぁ!」
「こんにちは」
「今日はお兄ちゃんは?」
「うん、今日はゆかりとだけ」
「ごゆっくりね」
などと笑顔で挨拶を交わしました。ゆかりちゃんには二つ上にスポーツ万能なイケメンのお兄ちゃんもいるのですが、この日は同席していませんでした。
着席し、当然の如く食べ放題をオーダー。足りなくなればテーブルで追加オーダーする方式ですが、各自、サラダバーからも好みのものをよそってきて食事開始となりました。
食べ進むうち、ふと視線を感じて目をやると、ゆかりちゃんの隣の椅子の背もたれの隙間から、男の子がクリクリとした可愛い眼でこちらを覗いています。まだ3〜4歳ぐらいでしょうが、イタズラするわけでも駄々をこねるわけでもなく、お利口さんな様子でえらいなと思いましたし、なによりとても可愛いらしいのです。その瞳といい、騒ぎたいだろうにおとなしくしているその口元といい、艶やかな肌といい、美人母娘のゆかりちゃんの家系似なのか、とにかく可愛いらしくお行儀の良い男の子が、椅子の背もたれを握って、その隙間からこちらを眺めていました。ついつい私も自然に笑顔が溢れ、口パクでお利口さんだね〜などと話しかけ、小さく手を振ったりしていました。
程なくして、ゆかりちゃん母娘が食事を終えて席を立ちました。声に出して挨拶をするにはテーブルが離れ過ぎてボリュームが大きくなってしまうので、お互いに身振りと口パクでしたが、私達は家族四人で見送りました。

見送ってから、私は
「ねえ、あの男の子は誰のこどもさん?
ゆかりちゃんの下に、あんなに小さな弟くんがいたの?
まさかゆかりちゃんのこどもさんとかじゃないよね?
まだ、お兄ちゃんのこどもさんでもないよね?」
「え?
ゆかりちゃんのお母さん再婚?
いやいや、再婚なんてしてないよ。
あっちのご主人は早くに亡くなってるから、ゆかりちゃんの下に弟なんかいるはずないよ」
と主人。主人はゆかりちゃんのお母さんとも亡くなったお父さんとも親交があります。
「ゆかりも、ゆかりの兄ちゃんもまだ結婚してないよ
。俺、ゆかりとも兄ちゃんとも時々会うし、SNSでも繋がってるから知ってるけど、二人ともしてないよ」

と長男。
「お母さん、男の子って何のこと?」
と次男が言うと、三人の眼が一斉に私を見つめます。
「ハァ〜?
今、一緒にいたでしょ、可愛い男の子が。
可愛いよね〜ゆかりちゃん母娘に似てるのかな?
男の子なのに可愛いかったよね」
と私が応えても誰も同意しません。え?なに、この間?ナニナニ?と不思議がる私に、更に怪訝な目。
「男の子がいたの?
どこに、どんな男の子?」
と、次男が声のトーンを抑えて冷静に訊いてきます。
「ゆかりちゃんの隣の椅子にいた、青い服の男の子。
あんな小さいのにお利口さんよね、走り回ったりもせずにおとなしくてて」

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