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呪い・祟り

足が太いさんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

血筋を呪う小屋
長編 2022/03/04 11:55 3,311view
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事のきっかけは、Aちゃんの「肝試しに行こう」という誘いでした。
Aちゃんの地元には、昔から『絶対に入ってはいけない』と言われている小屋があって、そこに入った人は全員呪われるのだとか。
呪われるなんて怖いと思って一度は断ったんですが、Aちゃんが「小学生の時に友達がその小屋に入ったけれど、今も元気に生きてるよ」と言うので、結局押し切られる形で肝試しに行くことになりました。

Aちゃんの地元までは、私とAちゃんが今住んでいるところから電車で20分くらいです。
なので、そんなに田舎でもなく、到着したのは日の暮れた夕方だったけれど、道々に街灯があるし怖い感じはしませんでした。
でも、例の小屋の前に辿り着いた時に、「ああ、やっぱり断れば良かったなぁ」と、後悔しました。
小屋自体は古いものの何の変哲もありませんが、何と言ったらいいのか、とにかく見ているだけで寒気がするんです。
Aちゃんに「やっぱ止めようよ。小屋に入ったところを誰かに見られたら不法侵入で警察呼ばれるんじゃない?」と、声をかけたのですが…。
Aちゃんは私を見ることなく「大丈夫、この小屋は私の家が所有しているものだから。不法侵入じゃないよ」と言って、1人で先に小屋の中へ入ってしまいました。
Aちゃんの言葉に一瞬頭がフリーズしたものの、さすがに置いて帰る訳にはいかないしと思って、私も後に続いて小屋の中に入ったのです。

小屋は木製で、4畳くらいの広さしかありません。
電気がないし、小屋の周りには街頭があるものの、中までその明かりが届かないので、スマホのライトを点けていました。
先に小屋へ入ったAちゃんはと言うと、何故か奥の方に壁を向いて座り込んでいます。
「Aちゃん、どうしたの?気分悪くなった?」
「ぁ…」
「なに?何て言ったの?大丈夫?一旦外に出る?」
「ぅ…ぅぅ…」

隣にしゃがみこんで話しかけますが、何を言っても小さく唸るだけです。
さすがにおかしいと思い、無理やりAちゃんを立たせて小屋から連れ出そうとしたのですが、まるで大きな岩のように重く、全く動かすことが出来ないのです。
しょうがないので外に出て、人がいたらその人に手伝ってもらおうと思いましたが、扉が開きません。

スマホで扉を照らしましたが、鍵がついている様子はないのに、何故だか扉を押しても引いても、ピクリとも動かないのです。
これはいよいよやばいと思ってスマホで警察を呼ぼうとしましたが、スマホの電源が切れたのか、何をやっても画面が真っ暗なまま。
「こんなことになるなら、Aちゃんの誘いに乗らなければよかった」と、半泣きになりながら扉を叩き、「誰かいませんかー!助けてくださーい!」と叫び続けました。

どれくらいの時間が経ったでしょうか。
扉を叩き過ぎて手から血が出た頃、やっと外から扉が開きました。
扉を開けてくれたのは年配の男性で、「どうしてここに入ったんだ、ここは入っちゃいけないと言われてるだろう。とにかく早く外に出なさい」と言いながら、外に出るように即してきました。
「あ、待ってください、友達が動けないんです。助けてください」
「友達?もう1人いるのか?怪我でもして動けないのか?分かった、俺も手伝おう…A?Aか!?どうした!?」
おじさんが、壁の方を向いて座り込んでいるAちゃんを覗きこむと、驚いたように叫び出しました。
「し、知り合いですか?」
「ああ、Aは俺の姪だ…どうしてこの小屋に。入ったらダメだとあれほど言っていたのに。くそっ!ちょっと人を呼んでくるから、小屋の外に出て待っといてくれ!Aがどこかに行かないか見ておいてくれよ!」

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