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呪い・祟り

Cさんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

私宅監置の呪い
短編 2022/03/05 12:12 2,011view
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祖父から聞いた話です。

祖父の父親……私の曾祖父にあたる人物は大変厳格な男で、何より一族の体裁を重んじました。

曾祖父には二歳違いの弟がいました。彼には精神疾患がありました。

無闇やたらと暴れまくって周囲に迷惑をかけるタイプでこそなかったものの、何もない虚空を見詰めてへらへら笑いだす、外を出歩こうものなら遊び友達と思い込んで幼い子どもを付け回すなどして噂になっていたそうです。

それでも両親の存命中は家族の一員として遇されていたのですが、父母が死んで曾祖父が家督を継ぐやいなや状況が一変します。

「うちに阿呆はいらん」

曾祖父は血を分けた弟を物置を改造した座敷牢に放り込みました。私宅監置です。

もとより両親に甘やかされ放題の弟を憎んでいた曾祖父は、ただでさえ粗末な食事を一日一回に減らし、入浴や着替えもさせず酷い扱いをします。非道な仕打ちが祟り、衰弱しきった弟は命を落としました。

ところが……弟の死と入れ違いに曾祖父は悪夢に悩まされ始めます。

曾祖父は夢の中で座敷牢に行き、格子を隔てて弟と対話します。
弟はしばらくの間きちんと正座して兄と向き合っていましたが、やがて二ィイと不気味に笑い、前歯の抜けた口で指摘するのです。

「兄さん、なんで牢にいるんだ?」

フッと気付けば座敷牢に入っているのは曾祖父の方でした。格子を掴んで「出せ!」と訴えても弟はヘラヘラ笑うだけ……

夜毎同じ夢を見続けるうちに曾祖父は気がふれてしまい、最後は自分から座敷牢に入ったそうです。

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