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不思議体験

さすけさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

襖の前の弟
短編 2021/01/17 19:20 3,050view
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私が中学2年生の時に実際に体験した話です。
当時は母、私、弟と3人で団地に住んでいました。

間取りとしては茶の間+2部屋で、2部屋はそれぞれ私と弟がそれぞれ個人の部屋として使っていました。私たちの部屋は襖で仕切られていて、目線は遮られていますが音は筒抜けの状態。それぞれの部屋を仕切る襖の前には家具が置かれていたので、お互いの部屋を仕切る襖を開けたことはありませんでした。もちろん入り口は別々で、そこも襖になっていました。

我が家では猫を飼っていて、私たちの部屋に入ってきた猫たちはよくイタズラをするので基本的に部屋には猫を入れないようにしていました。
そのため、襖には金具を取り付けていて中からは鍵がかけられるようにしており、夜寝る時に鍵をかけて、朝部屋から出る時に鍵を開けていました。

ある夏の晩、私はいつも通り襖に鍵をかけて眠りにつきました。

ドンドンドン!!
「ねぇ起きて!!!早く!!兄貴!早く起きてって!!」
「大変なんだって!!早く出てきて!!」

襖を叩かれる音と私を呼ぶ声で目が覚めました。

時計を見るとまだ朝の4時頃だったと思います。
私を呼ぶその声は間違いなく弟のものでした。

「どうした!!何があった!」
私は弟に向かって大声で答えました。

ドンドン!!
「いいから!!とにかく早く出てきて!大変!」
襖を叩きながら弟の声が答えます。
叩かれている襖はお互いの部屋の仕切りではなく、鍵をかけてある普段出入りしている方の襖でした。

私は眠りの中叩き起こされ、何があったのか説明しない弟にイライラしていました。
「どうしたの!!何さ!!」

私は大声で襖に向かって叫びますが、弟は繰り返します。
「いいから早く出てきてよぉ!!!!」

「だから何なのよ!!」
私がさらに大声で叫ぶと
そこからパタっと物音がしなくなりました。

「○○(弟)!!どうしたの!」
返事がありませんでした。

何故かその時の私は襖を開けようとはせず、そのままもう一度眠りにつきました。
そして朝の7時に設定しているいつものアラームで目覚めました。

襖を開けるとすでに起きていた母がキッチンにいたので、私は今朝のことを母に尋ねてみました。
「朝方○○(弟)がなんか叫んでなかった?起こされたんだけど」

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