トイレの個室に人を閉じ込める幽霊

私が小学生の時の話である。昼休みの時間、トイレに入ろうと入口に近づいていくと、入口付近に時々話をする仲のいい子が立っていた。
早く済ませたかったのでそうそう話もせずすたすたと入って個室のドアを閉めようとした。
するとドアが揺れ、すうっと閉まった。
なんとなく気持ちが悪かったが、何しろ小学校自体古い建物で立て付けの悪いドアである。そんなこともあるかなと思いつつ用を済ませ、再び立ち上がってドアを開けようとした。

すると開かない。ちゃんと鍵を開けたか、留め金がちゃんと外れているかと確認するも外れている。なにか挟まってでもいない限りそういうことはない。
力を込めてみる。しかし開かない。何回も何回もうんうん力を込めて押すが一向に開かないのだ。

トイレに入ってくるときに、件の仲のいい子が立っていたのを思い出した。
「あぁ、私がトイレに入っていくのを見ていたずらをしかけてきたな〜」
そう思って力比べや！と割り切り、力を込め続ける。が、それでもびくともしない。確かに私は運動も苦手だったし腕力も弱かったが、あまりに長い。

４分５分と時間が経ち、いい加減授業の開始時間が心配になってきた。同級生は一体何を考えているのだろう。自分だって授業に遅れそうなことぐらいわかるはずだ。

たまりかねた私は手をドアから離し、大きい声で怒鳴った。
「ちょっといい加減にしてよ！授業に遅れちゃうでしょ！！」

するとびくともしなかったドアが、私は力を加えていないのにすうっと開いた。
あまり広くないトイレだったが、トイレ内に同級生の姿はない。個室のドアのところからそんなに一瞬で、足音もなく入り口の角を曲がり、姿が見えない距離まで走っていけるだろうか？

れっきとした幽霊の仕業だった。

この小学校にいた子供の幽霊だろうか？いじめられた嫌な思い出から「卒業」できずに自分が見えない、生きている子供にちょっかいをだして鬱憤を晴らそうとしたのか、はたまた楽しい思い出があってぷらっと遊びに来たのだろうか？
それとも、昔ここで教師だった人間でサディスティックだった人がふらっと再訪して、ふふふ・・と笑いながらちょっかいを出してきたのだろうか。

想像は尽きないが、大声のパワーと根拠のある怒りの感情が馬鹿な幽霊をはっとさせたのは確かである。
ひょっとしたら、声は大きくても言っている内容がめちゃくちゃに本人のワガママだったりしたら、そんなに響くことはないかもしれない。

またこちらは今から数年前のことだが、あちらの世界でフラフラしている、いわゆる「低級霊」を撃退したことは他にもある。

私はだいぶ昔から、住んでいるアパートの部屋の中でラップ音がなる。引っ越す前、東京に住んでいたときからである。自分にとって結構重たいことを考えているときに「バシッ」とか、時にはものを少しだけ叩くような感じで「コンっ」とよく鳴っていた。

ただし、どんなに長年聞き続けていても慣れるということはなかった。
寄り添うような空気がよくそういうときには伝わってくるのだが、なにかこう、気持ち悪さがものすごかったからだ。
いい年をした大人なら分かると思うが、女性の方なら年老いた父親から、男性の方なら年老いた母親から、あまりしょっちゅう肩に手を回されて話しかけられると気持ちが悪いはずだ。少なくとも日本人なら。（西洋の方はスキンシップが多いから、仲が良ければありかもしれない）

まあ、そうした感じの、セクハラされているのに近いくらいの気持ちの悪い空気がラップ音がするときにいつもするのだ。私が元気なとき、忙しくて変に後ろ向きになれないときには決して寄ってこず、集中してものを考えたいときや怒りや驚きでデリケートなときに。
感情を逆なでしたり、余計に後ろ向きになるのが楽しいのだろう、してやったり感を覚えているのだろう、そんな感じなのである。

随分長い間そうしようと思いつかなかったのが不思議だが、対策がないかとインターネットで調べることを思いつき、検索してみた。
今ではもう何のサイトで見たのかも思い出せないが、霊能力カウンセラーとかそちらの筋の方が書かれているブログで、電化製品でラップ音を鳴らす低級霊について書かれているものがあった。

それによると、ラップ音を鳴らす霊で高い音を鳴らす霊は高級霊で、波動の高い方。低い音を鳴らす霊は波動が低い低級霊。そして低い音を鳴らす霊は電化製品で音を鳴らすことがとても多い。
なぜ電化製品で鳴らすことが多いのか？それは、低い想念を持っており、自己中心的で自信がなく波動が低いので、この世にいる人に直接物をいったり、この世にある物質を動かすほどの力がないためだそう。
しかし電気はそのような低級霊でも比較的動かしやすいため、電気に働きかけることはできる。それを知っているので電気で動く電化製品でよくラップ音がなるという。