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不思議体験

kyogokuさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

実話怪奇談 二選
長編 2022/02/16 09:33 3,035view

私は別に幽霊が見えるとか強力な霊感があるわけではないが、怖い話だとかを見るのは好きでインターネットや書籍で怖い話を見つけてはよく読むし、最近ではyoutubeの心霊スポット系の動画をよく見たりする。それが関係してるかどうなのか、、人ならざるものを引き寄せてしまっているのか、、普通に考えたら不可思議だよなぁと思うことが稀に起きたりはする。
そんな私が経験した不可思議な話を二話紹介したいと思う。

①高校時代の寮にて

これは今から約20年位前に私が高校生だった頃の話になる。当時私は東北の某県の農業高校に通っていて、高校が自宅から離れているために寮暮らしをしていた。

寮の部屋の構造は各部屋6人が定員でドアを開けたら机があって向かって右横に1段あたり3人が仕切りがあって列の様に並んで寝れるベッドが2段になっているという構造だった。実際は定員ギリギリではなかったから各部屋に1~3年生の組み合わせで3~4人位だったと記憶している。

その寮では部屋替えと言って、一定の期間の間隔ごとに部屋と部屋のメンバーを入れ替える行事みたいなのがあって、部屋替えして最初に決めることといえば(どこのベットで寝るか?)という事だが、私は適当に「ここでいいや」となんの考えもなしに真ん中の2段目のベットを指定した。そのベッドには場所ごとに部屋替え前の使用者の名前が書かれたシールが貼ってあったのだが、そのシールに書かれた名前というのが違う学科の同学年のT君の名前だった。そのT君というのが当時自転車で通学中に不慮の事故にあって亡くなってしまった人だった。T君が亡くなってしまった事についてはもちろん悲しいことなのだが、偶然とはいえ自分が今度使うと指定したベッドが亡くなったばかりの故人が使用していたというのは正直言ってあまり気持ちの良いものではなかった。

その日の夜か数日後の夜かははっきり憶えてはいない。深夜の事だったと思うが、自分はその時は寝れなかったのか目が覚めていた。
いきなり部屋のドアが開いて部屋に誰かが入ってきた。ただ就寝時はベッドごとに仕切をするようにカーテンがあって閉めてたので当然誰なのかはわからない。それで(部屋に入ってきた誰か)も目的がわからない。友人に会いに来たのなら声をかけるだろうし、泥棒なら(当時は治安があまり良くなくたまにあった)何かガサゴソと漁るだろうし、そいつはその気配もなくただその部屋に入って来たっきり押し黙っているように感じた。
そこで私がカーテンを開けたら誰が入って来たか分かるのだが、その時は単純に怖かったのもあるが「開けてはいけないような気がした」のでただ時間が過ぎるのを待った。1~2分かもしくはそれ以上経ったのだろうか、しばらくしたら(部屋に入ってきた誰か)は諦めたかのように部屋から出て行った。

その日の夜の話はそれで終わりなのだが、翌朝の点呼の時間(廊下に寮生が並んで人員が揃っているか先生が確認する作業)に隣の部屋の寮生の会話が耳に入った時に思わず「えっ?」と思ってしまった。

寮生A「そういやさぁ。昨日の深夜におかしなことがあってよ。」
寮生B「何があった?」
寮生A「部屋に誰かが入ってきたから何の用かと思ってカーテンを開けてみたわけよ。」
寮生B「それで?」
寮生A「誰も居ねぇんだよ。」
寮生B「マジかよ、、」
みたいな会話をしていたのだ。

昨日の夜の出来事がそもそも本当に幽霊だったのかは断言はできないし、隣の寮生の部屋の出来事も件のT君が使っていたベッドが関係したことも何もかも未だに分からない。ただ私は時たま思うことがある。

あの時カーテンを開けていたら私はどうなっていたのかと。

余談ではあるが、当時の寮には幽霊が出るという噂は前からあり、部屋でたむろしていてタバコを吸っていたヤンチャな不良学生の一人が誰もいない方向から背中を手で触られたとか、女子寮にも幽霊が出るとかという話はちょくちょく聞いていたので今思えばおかしなことがあっても不思議ではないと思う。

その寮も今では新しく建て替えられてすっかり立派になっている。建物は変わったとはいえ立地は同じであるからその類の話というのは今の寮生は経験してはいないのか気になってしょうがない。

②温度計の怪

2014年の11月に体験した話だ。
実話怪談の取材を基にした心霊体験談をまとめた書籍を好きな人なら怪談作家のA.Kさん(実名だと差し障りがあるかもしれないのでイニシャル表記)という方をご存じだと思う。この方の書く文章は実に魅力的で絶妙な言葉のチョイス、行間の開け方、そして話のオチの付け方で読み手の恐怖を引き出すのが上手いのが特徴でそんな文章に魅かれてファンになり、図書館で借りたり購入したりして楽しんでいた。

そんなある日、A.Kさんの著書をいつものように自宅で読んでいた時の事。その時読んでいた話の内容は6年前の事なので実際に本を引っ張り出して話を見返さないと細かい部分は失念して思い出すことができないのだが、(コンビニに買い物に行ったらその店内で怪異が起こった)とかそういう類のあらすじだったかのように憶えている。

私の部屋にはオーディオラックの様な机があって一番上にスピーカーが置いてあるのだが、そのあたりから「バチッ!」という音が聞こえた。その時は単なる外気との温度差による家鳴りかな?と特に気にも留めてもいなかったがそのような音が3回、4回と頻繁に鳴り、今度は下に置いているゴミ箱からも「クシャッ」という例えるならプラスチック製のお菓子の包装を丸めたような音がする。
さすがに「なんだよ。うるせぇな。」とイラつきながら周りを見渡すものの当然部屋の様子に変化があるわけがない。

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