おそろいにするね

これは離れて暮らしていた伯父の遺品整理に赴いた際の話です。
私の伯父は独身のまま五十代でガス自殺をしました。その後唯一の身内の私が伯父の借りていたアパートの部屋を片付けていると、押し入れから一本のビデオテープが出てきました。

随分懐かしい物があるなと呆れ半分感心半分、ちょうどビデオデッキがあったので再生してみることにしました。捨てる前に一応中身を確認しておくか、程度の軽い気持ちだったのですが……そこに映っていたのは衝撃的な光景でした。

粗い映像とともにテレビに映し出されたのは派手なメイクの茶髪の女でした。女がいる場所は伯父の部屋に似ています。どうやらここで撮られたみたいです。
無言のまま口パクで何かを伝えようとしている女の唇に目をこらし、ぞっとしました。

「おそろいにするね」

次の瞬間ブツリと映像が途切れ、画面は真っ黒な闇に包まれました。以降はどれだけ再生を試しても無駄に終わり、テープは完全に壊れてしまいました。

伯父の葬式を終えた後、古いアルバムを見返してあの女と再会しました。ビデオテープに映っていたのは伯父が二十代の頃に自殺した、女優志望の恋人だったのです。

彼女の死因もまたガス自殺だったのでしょうか？