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呪い・祟り

とろとろさんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

河原で拾った白い石
短編 2022/01/25 21:55 1,901view
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これは、私が小学生だった頃の話です。
たまたま遊びに行った河原で、白い石を見つけました。丸くて平たくて、すべすべした石です。
「わぁ、まるでお餅みたい!」
私はその石を気に入り、家に持って帰りました。

その日の夜中。
寝ている私は、枕の横で何かを感じました。誰かが座って、私を睨んでいる…。
私は目を開けていないし、横を向いてもいないのに、睨まれているのがわかりました。
相手はおばあさん。こぶしをギュッと握り、今にも襲い掛かろうと力をためている様子まで、リアルに伝わってきました。見ていないはずなのに!

私は怖くて、謝りました。

「ごめんなさい、ごめんなさい!必ず返しますから!」
…返す?何を?
その時は、わけがわかりませんでした。でもなぜだか私は、謝りながら「返します!」と必死に繰り返していました。

しかしおばあさんは、許してくれません。私を何度も殴りました。
いえ、実際は殴っていないのです。私の横に座って、睨み続けています。
でも私は、確かに打撃を感じました。怒りのこもったこぶしで、おびただしい数、殴られ続けました。
また、おばあさんの顔が突然巨大になり、迫ってくるのも感じました。何度も何度も。そのたびに恐ろしくて、心臓が止まりそうでした。
その間私はずっと、「返しますから、絶対返しますから!」と謝り続けるしかありませんでした。

…恐怖の時間は、何時間続いたのでしょう。気がつくと朝になっていました。

そして私は、ようやく気付きました。返さなければならないのは、あの白い石だったと。

もしかしたら、あの石は、あのおばあさんが願をかけて置いていたのかもしれません。あるいは、誰かを弔うためか…。
正解はわかりませんが、私は触れてはならないものを、持って帰ってしまった。それだけはわかりました。

早朝でしたが、私はすぐに河原に向かい、石を元の場所に返しました。そして、
「勝手に持って行って、ごめんなさい!」
と謝りました。

その時、手が自然に合掌のポーズになりました。自分の意志ではなく、ひとりでに。
瞬間、体がふっと軽くなった気がしました。
…私は、許してもらえたのでしょうか。

それ以来私は、むやみに物を拾わないようにしています。それがたとえ、誰かの荷物やお財布でも。
だってそこに、どんな念がこもっているか、わかったものではないから…。

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関連タグ: #事故物件#石
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