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不思議体験

ぴさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

記憶違いの友達
長編 2022/01/18 12:09 3,620view
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私には小学生の頃に、仲良くしていた二人の友達がいました。
一人はよく学校で一緒に鬼ごっこをしていて、田畑を駆け回るようなすごく活発な子で、もう一人はいつも休み時間に一人ぽつんと本を読んでいるような物静かで寡黙な子だったのです。

すごく真逆に見える友達でしたが、私たちはすごく仲が良かったです。
たまに一緒に川遊びや海遊びに行ったり、夏祭りに出かけたり、花火をしたりと行事ごとにはいつも3人一緒に参加していました。

周りの友達からも、「仲良し3人組」なんて呼ばれて、有名だったと思います。
私たちもずっとこの3人で仲良くつるんでいるつもりだったし、疎遠になるだなんて想像もできませんでした。

そんな私たちに距離ができるようになったのは、一人の転校生がやってきてからのことでした。
田舎のほうに住んでいた私たちとは違って、転校生は東京からやってきた都会っ子で、見た目もすごく華やかで可愛くて、あっという間にクラスで有名になりました。

舞ちゃんというその子は笑顔になったときにできるえくぼが可愛い子で、クラスのアイドルと言っていいほど人気になりました。
舞ちゃんの周りはいつも人が集まっていて、ちやほやされていました。

そして私と寡黙な友達を尻目に、どんどん活発な私の友達と距離を縮めてしまったのです。
可愛くて目立つ舞ちゃんとその友達はすごく気が合ったみたいで、急激に仲良くなりました。

その様子を見ていて、私はヤキモチを焼いてしまいました。
今まで私たちとすごく仲良かったその子が急に離れていってしまうのがなんだか悔しかったのです。

「私の友達なのに」という嫉妬心が沸々燃え盛りました。
だからたまに舞ちゃんに意地悪なことをしてみたり、してしまったんですよね。
子供だったので消しゴムを隠したり、椅子に黒板消しを置いたりという小さな意地悪でした。
それでもこれが問題になってしまって、学級会が開かれることになったのです。

舞ちゃんが「誰かに意地悪されている」と先生に話したことをきっかけに、この学級会は開かれることになりました。
舞ちゃんに対するいじめをなんとかしようと、周りの友達も鼻息荒く犯人を見つけようとしていて、私は気が気じゃなかったです。

私は心臓の音がドキドキしながら、成り行きを見守りました。
てっきり私が犯人だとバレるのではないかとハラハラしていましたが、話し合いはなんだか意外な感じに決着がつきました。
いつも寡黙で私と仲良くしている友達が「犯人を見た」と言い出したのです。

その日の放課後、私は先生に呼び出されることを覚悟しました。
舞ちゃんに嫌がらせをしていたのは私です。
だからきっと私が呼び出されて、クラスがざわつくことを想像していたんです。

でもその日の放課後に呼び出しを受けたのは驚くことに私ではありませんでした。
先生にいじめをする犯人を見たと言った私の友達と、クラスで地味だった生徒と、なんと舞ちゃんと仲が良かった友達の3人でした。

どうやら舞ちゃんのいじめまがいの嫌がらせをしていたのは私以外にいたんだそうです。
しかも私のように消しゴムを隠したり、黒板けしを置いたりなんて小さなものではなく、ロッカーに毛虫をどっさり入れたり、教科書を破ったり、体操着を切り刻んだり、椅子に画びょうを置いてケガさせたりという悪質性の高いことをしている子たちでした。
このことは学校ではかなり大きな問題となり、その後舞ちゃんは逃げるようにまた転校して行ってしまいました。

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コメント(2)
  • イマジナリーフレンドみたいなものかな?
    不思議で面白かったです

    2022/01/18/12:24
  • 卒アルあるのでは?

    2022/02/06/20:02

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