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心霊

ジュリーさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

他の人には見えない「好きな人」
短編 2022/01/14 17:28 201view
大学の時、同じゼミにAという男がいました。

Aは口数が少なく、ゼミに出席しても周りとはあまり話さず、学内にも親しい友人はいない様子でした。

ある日、そのAが僕に話しかけてきました。

Aが話した内容は「好きな人ができたのだが、どうすればいいのか?」ということでした。

そんなことをあまり親しくない僕に話してくるのも不自然な気がしましたが、彼の話しぶりは真剣で、とてもそのようには見えませんでした。

彼が好きな人と言っていた女性とは話したこともなく、道ですれ違うだけだそうです。

僕は「話しかけてみたらどうか」と伝えました。

するとAは「何を話せばいいか?」と質問し、それに対する僕の答えを全てメモしていました。

翌週、Aは再び僕のところへ来て「今日、話しかけてみる」と言いました。

僕はAが好きな人がどんな人なのか見てみたいと思い、Aに「一緒に行っても良いか?」と言うと、喜んで快諾してくれました。

その女性は、いつも夕方5時に決まった道を通るということです。

その道は住宅地にある1本道で、入って待つような店もなく、僕とAは路上でその女性が来るのを待っていました。

5時を少し回った頃。Aは「来た」と呟くと少し歩き、メモの内容通りの話を始めました。

僕にはAが話している相手が見えません。Aは何もない空間に向かって話しかけています。

怖くなって逃げるように帰り、翌日「どうなった?」と聞くと、嬉しそうに「一緒に暮らせるようになった」と答えていました。

彼は何に話しかけ、何と一緒に暮らすようになったのか。

怖くて何も聞けませんでした。
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