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心霊

東村さんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

神社の背後から忍び寄るモノ
短編 2022/01/12 12:12 1,021view

これは弟が体験した話です。

弟は霊感があり、昔から奇妙な体験をしていたようですが、現在は地元から離れた社員寮で暮らしています。
しかしその寮内でも奇妙な経験をしていると言います。

その中でも今回はその寮から徒歩10分程度の場所にある、神社で経験した話を紹介します。

──とある夏の金曜日の夜、弟は寮で1人テレビを見ていました。同僚たちはというと、別室でかなり飲んでいたらしく、盛り上がっていました。すると彼ら4人が弟の部屋やって来て、「あの神社へ肝試しに行こう」と、提案してきました。

相手は酒が回り、べろんべろんに酔っていたようですが、弟は断りました。というのも、以前からその神社を不気味に感じており、特に夜は近づきたくないと感じていたようです。

神社自体は大きな神社で、昼間は人も来るような場所なのですが弟いわく「土地が古く、何か気配がある」と、近づきたくない神社だったようです。

しかし酒で酔っている相手にそんなことを言っても通じず、結局弟を含めた5人で行くことになりました。

神社につくなり4人の誰も鳥居にお辞儀をせず通り、弟はすでに嫌な感じがしたようです。
何もせず彼らを見ていると一番酔っていた同僚がなんと、通路を挟んで向き合っている狛犬のことを、バシバシ叩き始めました。

狛犬には呼び名があり、口が開いている方が阿(あ)、口を閉じている方が吽(うん)と言います。叩かれていたのは口を閉じている吽でしたが、通路を向いているはずの首を曲げて、弟を見て来たそうです。そして阿の狛犬からも視線を感じて〝早く叩くのをやめさせろ〟と、訴えてきたとのこと。

それだけでなく頭上からも視線を感じて見上げると、木の枝に人が立っていました。その姿はまさに神主のようで、白い袴を身に着けていたようです。見た目はおじさんだったそうですが、そんな場所に人がいるはずがありません。そのおじさんはというと〝帰れ〟と、訴えてきました。

それでも弟には同僚を止められず、狛犬は叩かれるがまま。しかしそんな時、今度は音が聞こえたのです。
それは神社の背後の山からで、例えるなら〝ざっざっと〟山を下り神社へ向かって来る行列の足音。

弟はそれを聞いた瞬間、恐怖に耐えきれず一目散に1人で逃げました。
すると同僚たちもその弟を見て、遅れて逃げます。

寮までやって来て「なぜ逃げたんだ」と、問われた弟はその狛犬や神主の話を同僚にしましたが、当然誰も信じません。
しかし、その足音の話をした時、地元出身の同僚がスマホで地図を確認しました。

スマホを拡大して指でなぞっていくと、墓地の文字のところで指が止まりました。
そうです、実はその神社の背後には墓地があったのです。

彼ら5人は墓地で彷徨っていた、人ではない何かを呼び寄せてしまったのでしょう。
後から考えると狛犬や神主は、叩いていたことを警告していたのではなく、神社の背後にいる存在のことを警戒して、やめさせるように訴えていたのかもしれません。

後日5人は御神酒をもって、神社へ手を合わせに行ったそうです。幸い今も健康で寮で暮らし、無事に働いています。

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コメント(1)
  • 夜の神社は危険というのは本当なんでしょうね

    2022/01/12/12:32

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