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心霊

足が太いさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

墓地の見える窓に現れる女性の霊
長編 2022/01/12 23:52 1,900view

A美に声をかけると、首だけがぐるんっと勢いよく私の方を向いて、貼り付けたような笑顔で言いました。
しかし、A美が指さす方向、墓地の方を見ても誰もいません。
私が反応できずにいると、A美は能面のように無表情になり、また墓地の方を向いて話し始めたのです。
さっきからA美の言葉になぜか聞き取れない言葉があって、それも相まっておかしな雰囲気でした。

「A美、本当にどうしたの?ねぇ、怖がらせようとしているの?もうやめてよ、まだ夜中だし、取りあえず寝よう。部屋に戻ろうよ」
「うーん、B子ちゃんはそうだったんだ。じゃあ私も○○する時は××しないように気を付けよう!」
「A美、さっきから何の話しをしてるの?」

「B子ちゃんが死んだ時のことを教えてもらってるの。私も失敗しないように」

A美がそう言った瞬間、パンッと鋭い音がリビング中に聞こえたかと思うと、A美が頭から後ろ向きに倒れてしまいました。
急いで駆け寄ると、A美は白眼を向いて口の端から泡を吹きながら、失神していたのです。
このままじゃA美が危ない!と思って、すぐに救急車を呼んで病院に運んだのですが、検査の結果は何の異常もありませんでした。

その日は検査入院することになったので、翌朝、A美を迎えに行ったのです。
A美は昨日の夜のことどころか、リビングの墓地が見えるまどを怖がっていたことや、部屋に引きこもっていたことなどすっかり忘れていました。
ただ、見知らぬ女の子がA美に話しかける夢を、様子がおかしかった間ずっと見ていたのだそうです。

A美に昨日の様子を伝えると、さすがにやばいと思ったのか、「このまま実家に戻ることにする。あんたも実家帰った方がいいよ。それで、あの部屋はすぐ引き払おう」と言いました。
私も同じ気持ちだったので、そうすることにしたのです。

ただ、A美が言っていたBという女性のことなど色々と気になることがあったので、不動産屋さんに退去を伝えるとともに、「あの部屋には何かあるのか」と、聞きました。

最初は不動産屋さんも渋っていたのですが、「実はあの部屋だけじゃなくて、他の部屋に住んだ人もあなた達が言っているのと同じ女性を見て、皆同じように墓地がある方の窓を怖がって退去してしまうんです」と、教えてくれたのです。
Bとはどういう亡くなり方をして、どうしてあのマンションの住人の前に現れるのかは、不動産屋さんも知らないようでした。
そもそも、あのマンションでBに該当する女性が亡くなったことはなく、墓地も曰く付きでもないからです。

結局、謎のまま部屋を引き払ったのですが、あのまま住み続けていたら、A美も私もどうなっていたのでしょうか。
A美はBという女性から死んだ時の様子を聞いた、と話していました。

もしかしてあのまま、あの部屋に住んでいたら、A美も私も、Bという女性の霊と同じ目に遭うことになったのでしょうか。
あの夜の出来事を思い出すと、未だに身震いが止まりません。

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